芸術

この世界では、芸術は上流階級の教養であるとか、知識人の趣味であるとか考えられる傾向にあり、あたかも日常生活とは関係のない非実用的なものと見なされています。にも関わらず、私たちの日常は種々の意匠や音楽や機知の愉しみに溢れています。私は芸術の各種について専門知識を持っている訳ではないのですが、これから芸術家として花開こうとする、けれども社会的な判断によってどうしようか迷っている若い人たちを励ましたいと思います。

芸術とは何でしょうか? 普通よりも大きな観点から一つの定義を試みてみましょう。あらゆるものは純粋な思考に端を発しています。根本物質である思考が速度を落としながら光となり、電磁フィールドとなり最終的に三次元の物質として固まります(実際にはまったく固くはないのでしょうが)。この現象を、私たちは動植物など自ら維持成長する生き物として目にすることが出来ます。遺伝子というプログラムによって、自ら物質として生まれることが出来るわけです。私たちの魂はある意味遺伝子と同じものであり、私たちのスピリットは物質に宿る生命力です。しかし例えば、私たちがあるアイデアを思い付いたとして、それが何もしないで独りでに本として生まれて来ることはありません。アイデアが本になる為には、言葉にし、原稿を書き、編集して印刷するという過程を経る必要があります。人間がアイデアを体の五感を通して伝えられるように具現化して表現すること、これが「愛の星 友の会」の芸術の定義です。

ちなみに、天使の世界ではアイデアを具現化するためにあれこれ手を尽くす必要が最初から無いようです。天使が本を思い描くと、目の前に完成した本が出現するといった具合です。私たちの三次元の世界でも、私たちの脳を完全に開花させれば同じことが出来るそうですが、私たちの現在の文化からはほど遠いようです。今のところは、芸術を具体化し表現する為には体を使わないといけないということですね。

五感を通して伝えられるアイデアが芸術だとすると、芸術形態には実に様々なものがあることになります。視覚を通して伝えられるものとして文学・絵画・彫刻・写真・CG・書道、聴覚は朗読・音楽、触覚は点字・子供のおもちゃ・寝具・工芸、嗅覚は香水・アロマセラピー(香道)、味覚は料理、複合的な形態として日用品・テーブルウェア・建築・映画・アニメーション・服飾・美容・メイク、総合芸術として演劇・スポーツ・コミュニケーション・子育て・人生があります。つまり、すべてが芸術であるということです!

それでは美についてはどうでしょう? 美しくなければ芸術ではないと考える人もいると思います。しかし美意識は人それぞれ違います。美意識は価値判断なのです。芸術は美しさとは関係がありません。芸術は「生を選択するもの」です。それがたとえ一時のものであろうとも、独自の生命を持ち、生の喜びへ向かう表現は何であれ芸術と言えます。ある芸術作品が永遠の生命を持つことはありません。人類の文化がより本質へ向かって進化すると、それに応じて芸術もどんどん変化して行きます。あなたの存在だけが、唯一永遠に生き続ける本質なのです。

一方で私たちの観点からすると死へと向かう(本当は死はありませんが)、文化を頽廃へと誘う「反芸術」が存在するのも確かです。別段探さなくても至るところに反芸術を見付けることが出来ます。私たちが死を選ぶなら、すなわち私たち自身を生から切り離すならば、私たちの文明はいずれ滅亡することでしょう。いつの時代も、すべての生命を尊重することを選ぶことだけが、私たちを神の許へと近付けることでしょう。

芸術は非常に必要なものなのです。ある意味子供を作ることと同じで、人類を存続させる為に必要とされるものです。誰もが決まり切った仕事をして生活している社会を想像してみてください。もちろん畑で食べ物を育てたりとか、生きて行くために必要な仕事は沢山ありますが、とにかく同じ仕事を続けています。そこには変化や、進歩というものが欠けています。生きる喜びは依然としてありますが、何百年と同じことを続けているうちに、私たちは輪廻転生する存在なので、社会全体が倦み始めてしまうのです。変化し、拡大するのが意識の自然な性質なので、芸術は必然的に生まれて来ます。芸術は人類の進化に貢献するための手段なのです。他に同じくらい重要な手段は科学しかありません。科学と芸術はワンセットと考えることも出来ます。

さて実践面からすると、芸術家に必要とされる技能はもちろん直観(インスピレーション)ですね。直観は誰もが持っている能力なので、特段訓練する必要も無いと思いますが、鈍っているかも知れませんので、活性化させる必要はあるかも知れません。直観を上手に使うには、意外かも知れませんが、欲しいものを明確にし、はっきりと意図することなのです。例えば、「服をデザインしたいのだけれど、私の情熱から湧き出る、それでいて本質に適って機能性もバッチリで軽くて、まったくのオリジナルな色と形のアイデア」と意識的に指定します。ここで考えたり論理や過去の資料集めに走ってはいけません。そうする代わりに、素晴らしい服をデザインすることを決心し、あなたの才能を信じたら、すべてを忘れて散歩に出掛けてみましょう。出来れば、緑や自然の中を歩いてください。そして何が起こるか試してみてください。その結果にとても驚かされるかも知れません。あなたの「存在」は、何でも知っています。

純粋な芸術で生計を立ててゆくのは難しいという社会的通念があります。これは間違っています。前に述べたように表現の形態は無限にあり、あなたがあなた自身を信じ、それから常識を適用すれば、この社会でもビジネスチャンスは無数にあるのです。あなたがとても純粋なら、あなたの表現を理解する人は始めは少数しかいず、確かに道は困難かも知れません。しかし時代は変わり、曲がったところのない本質的な活動、つまり善意の奉仕がまっとうに受け容れられ評価されるようになりつつあります。あなたがその道を選ぶなら、素晴らしいチャレンジになると共に、「新しいエネルギー」があなたを待っています。最終的には、多くの人があなたに感謝し、敬意を表することになるでしょう。

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