企画書「精神世界ガイド」

要点

スピリチュアル版ミシュランガイドの創設を企画します。混迷を極める現代の情報社会では、興味本位の範疇を越えて、本格的に人生の指針を得ようとスピリチュアリティの門を叩いても、これほどたくさんの選択肢があると、本当に自分に合った道を見つけることは難しいのではないでしょうか。初心者が、最初から最良の情報に辿り着くことは稀です。「生徒の準備が出来たとき、教師が現れる」というのは一種の神話であって、現実には、たまたま声高に宣伝していた教師や団体に成り行きで関わって行き、それが実は、自分が本当に求めていた道とは違っていたことに気づくまでに、何十年と労力やお金を無駄にしてしまう人が多いのではないでしょうか。 詐欺まがい、カルトまがいの教師や団体に関わってしまうと、経済的な被害を受けるだけならまだマシで、最悪のケースでは、「人生を奪われた」と言えるほどの悪影響が及びます。質が高く、信頼の置ける教師や団体を紹介する誠実なガイドブックが、是非とも必要な現状ではないでしょうか。そのガイドブックには、博物趣味的にいろいろな情報をただ収集したのではなく、そこから抽出したスピリチュアリティのエッセンスが、端的に明示されているべきではないでしょうか。この企画は本として出版するのが適当でしょうが、予算次第では、インターネット上のみでの公開という選択肢もあります。もちろん、企画者は非営利目的の第三者審査機関に徹することが理想です。

幸せとは

あらゆる種類のスピリチュアリティが一つの目的に集約するとしたら、それは「幸せでいる」ことに尽きるのではないでしょうか。スピリチュアリティ以前の幸せの基本条件として、まず、健康・愛情・(最低限の)経済の三つが満たされることが挙げられます。政治的、宗教的な服従を強制される環境の中で、集団催眠にかけられ、自由と幸福を得ていると思い込まされている状態とは区別され、それは内側から沸き上がる喜びや輝きがあるかないかで判断できます。スピリチュアリティは、それによって(誘導的、強制的に)健康・愛情・経済が脅かされたり、損なわれるものであってはいけないと考えます。その上で、スピリチュアリティでは、幸せには二つの方向性があるとされています。一つは、自己実現方向で、人間社会の繁栄のために何か貢献しようとする積極的態度の中に見出されます。もう一つは、自己消滅方向で、何かを成し遂げようと意志する主体そのものが脱落する過程の中に見出されます。しかし、すべての人が超能力者となり、欲しいものを何でも手に入れること、あるいは、すべての人が世捨て人となり、悟りが開けることが、スピリチュアリティの目的であるとは思いません。このプロジェクトでは、一つの仮定として、本当の幸せはどちらか一方ではなく、美徳とも言うべき両者のバランスにあるという立場を採ります。

先行する企画

先行する類似の企画に、別冊宝島さんの『精神世界マップ』、平河出版社さんの『精神世界の本』、荒俣宏さんの『世界神秘学事典』、ブッククラブ回さんの『スピリチュアルデータブック2007』などがあります。ただ、古典的名著を紹介するという形式だと、スピリチュアリティが単なる知的な探究であるという印象を強めてしまう虞があります。最も参考になる企画は、フランスの出版社 Almora による Guide Almora de la spiritualité で(最新版は2013年刊)、これは古典を掘り起こすことではなく、実践されることに主眼を置き、実地の調査をも含めて検証された、現代フランスの生きたスピリチュアリティの総目録になっています。

なお、日本の宗教法人に関する一次資料としては、文化庁が毎年発行している『宗教年鑑』があります。

評価方法

当該の教師・団体が発行する著作やインターネット上の公式サイトなどに一通り目を通します。その上で、もし予算が許せば、抜き打ち的にイベントやセミナーに参加し、詐欺まがい、カルトまがいの言動がないかどうかをチェックします。完璧な教師はいないのですから、審査上やむを得ない場合を除いては、試したり悪意のある質問をしたりといった挑戦的な行為は慎まなければなりません。大きな団体については、過去に名称を変えたり、裁判沙汰になったりしたことがあるかどうかもチェックします。明瞭な評価基準を設け、掲載するべきかどうかを総合的に判断します。評価するに当たっては、一般常識に加えて、宗教全般についての基礎的理解や、カルトの原理、サイコパスの心理についての基本的知識が必須になります。

評価基準

  • 内容。人の悩み苦しみを徹底的に洞察し、解決のための実際方法を明確に提示できているかどうかをチェックします。さらに、当該の教師自身が、人にインスピレーションを与えるような素晴らしい生き方を、実際にしているかどうかをチェックします。
  • 料金。今の日本には、精神世界・スピリチュアル業界の適正価格の相場がありません。そのため、心に悩みを抱える人たちに付け込む心理的商売が、野放しになっている状態です。当該の教師・団体が提供するサービスの対価が、一般常識に照らして法外な金額になっていないかどうかをチェックします。また、 当該の教師・団体の活動の根幹が、家元制度・上納金制度・資格商法・マルチ商法・ねずみ講の上に成り立っていないかをチェックします。政府が規制をかけざるを得ない事態になる前に、民間が率先して自浄能力を示して行きましょう。
  • 歴史。一般的に、長く続いているものほど信頼性が高いと言えます。ただし、伝統的な正統派だからと言って、盲目的に高く評価するようであってはいけません。
  • 成果。当該の教師や団体に関わりを持った人たちが、実際に変化し、幸せになっているかどうかをチェックします。
  • 知行合一(言行一致)の原則。美しい理想が語られるのみで、現実の行動を伴わない教えは虚しいものです。言葉と行為との間に、著しい矛盾が見られる教師や団体を、高く評価してはいけません。
  • 公平性の確保。執筆者・編集者が信奉する教義が、やたらと高く評価されないように、可能な限りダブルチェック、トリプルチェックを徹底する必要があります。執筆者・編集者の知り合いが、不適切に高く評価されないように配慮しなければなりません。また、このプロジェクト自体が、企画者の売名行為にならないように、配慮しなければなりません。

対象範囲

全世界を網羅することは現実的ではないので、日本国内で活動している教師、または日本に活動拠点を持っている団体に限定します。少なくとも二十年以上は安定した活動を続けており、なおかつ際立った成果を上げている教師や団体を中心に取り上げることが望まれます。いかに優れているように見えても、活動開始から十年も経っていないような教師や団体を、安易に取り上げるべきではありません。

  • 伝統宗教。仏教、神道、キリスト教、ヒンドゥー教(ヨガ哲学)、イスラム教、ユダヤ教、先住民文化(シャーマニズム)など。何千年もの伝統は、それだけ多くの検証に耐えて来たと考えられるので、王道だと思います。
  • 神秘主義思想。歴史的に見て、神秘主義はスピリチュアリティの最大の源泉とも言えますが、神秘のヴェールは最大の煙幕にもなり得ます。おとぎ話のようで現実味のない団体には、疑問を呈するべきです。
  • 心理学・心理療法・脳科学。精神の健康は誰にとっても重要ですし、そこが入り口になる人たちも多くいると思います。
  • ヒーリング。医学的検証に耐え、スピリチュアリティに連なるものであれば、取り上げるべきです。
  • 自己啓発。ビジネスの成功哲学にも、スピリチュアリティに繋がって行くものがあります。
  • 新興宗教。敬遠されがちな分野ですが、もし卓越した教義を持ち、運営方法も穏当であるなら、取り上げるべきです。
  • 超能力者・霊能者。科学的検証にオープンであり、なおかつ著しい社会的(影響力ではなく)貢献があるなら、取り上げるべきです。
  • 霊媒(チャネリング)。チャネリングによる伝達は、一般的に信憑性が低いと考えられますが、年月を経て情報の有効性が証明されているなら、取り上げるべきです。
  • 文学・哲学。実践するという点では疑問の余地があるものの、純粋な文学・哲学の中にも目を見張る内容のものがあります。
  • 芸術家・音楽家。美しさはスピリチュアリティに繋がります。
  • 武術。伝統的な武術にはスピリチュアリティが内包されている場合が多いので、取り上げるべきです。
  • エコロジー。先住民文化と共鳴する環境哲学の中には、優れたものがあります。

対象外とするべき範囲

非常識で無責任な教師や団体は、取り上げるべきではありません。トラブルを回避するために、敢えて悪評を掲載するよりも、評価できない教師・団体は最初から掲載しないという方針を採ります。 評価できると判断した場合でも、(取材とは違うので、掲載許可を貰う必要はないとは思いますが、)メディアへの露出を望まない教師や団体を、一方的に掲載するべきではありません。また、次のような特徴を持つ教師・団体は、そもそもスピリチュアリティとは何の関係もないため、対象範囲外とします。

  • 過激な教師や団体。宇宙には善悪も意味もないので何をやっても構わないとする教え、幻覚剤を用いる実験、黒魔術、悪魔崇拝、常軌を逸した儀式や修行を伴う超越思想など。
  • 霊的伝統の枠組みを悪用し、明らかに金銭やマインドコントロールを主目的としている教師や団体。
  • 社会不適応的な傾向を持つ人に、まやかしの希望を与えて依存させることで成り立っている教師や団体。
  • 理屈がどうであれ、信者に家族を捨てることを奨励する教師や団体。
  • 脱退しようとする人に対して、恫喝や脅迫をする教師や団体。
  • 諸悪の根源は政治経済システムにあるなどとし、反体制的な言動が目立つ教師や団体。
  • 自らが一番優れていると主張し、他を悪しざまにけなす教師や団体。
  • まったくのデタラメではないものの、明らかに大袈裟な「奇跡」「究極」「世界初」「革命」「何もかも上手く行く」などの表現を用いたり、明らかに話を盛っている体験談や有名人の推薦文を持ち出したりして、誠意を欠いた宣伝広告を行う教師や団体。
  • 性的な関係が入り乱れている教師や団体。
  • 本名や都合の悪い過去の経歴を隠そうとする教師。
  • 悪意はないものの、(エゴは実在しないので)自分には責任がないという哲学のもと、気まぐれな言動で人を惑わす教師。
  • 自らを過信し、絶対に間違いを認めようとせず、人に頭を下げることを知らない教師。
  • 「信じる信じないはあなた次第」という、結果が検証されることを最初から視野に入れていない、その場限りの占いや人生相談。
  • 一般に存在を公表していない秘密結社や、一般に公開してはいるものの、上級者サークルに入るにはイニシエーションを受ける決まりになっている、秘密めいた団体。
  • フランスの1995年の報告書でセクト指定されている団体とその関連。

改訂について

一度は信頼が置けると判断した団体が、主催者が変わった途端に豹変することもあるため、数年に一度は全面改訂する必要があります。言うまでもなく、権威主義に陥り、賄賂を貰って掲載するなどという暴挙に出てはなりません。万が一、高く評価していた教師や団体が、社会的な問題を引き起こした場合には、心ならずも片棒を担いでしまったことを謝罪し、責任を取るのが当然です。(それだけ審査を慎重に行わなければならないということです。)

協賛者募集

ご報告:募集は締め切りました。