呼吸法

古今東西の様々な文化の中で有効とされている「呼吸法」について、実践を通してみなさんと一緒にその可能性を探ってみたいと思います。それでは始めましょう。

人として生きるうちに、私たちは問題に出会います。家庭の問題、職場や学校の人間関係の問題、恋愛の問題、お金の問題、病気や痛みの問題、精神的な問題、社会的な問題、目標の達成についての問題。悩みのない人はいない、とよく言われます。概して私たちは問題を持ちます。

私たちの外側でものごとが起こっていて、私たちはそれを独自の基準で価値判断します。それによって感情の波が生まれます。良い感じを呼び起こすものごとを私たちは「良いこと」と呼び、悪い感じを呼び起こすものごとを「悪いこと」あるいは「問題」と呼びます。それは両方ともものごとからやって来ます。

実際に起きていること、本当に大事なことは、そのものごとによって呼び起こされる自分の反応です。まったく同じものごとに対して、ある人は「良いこと」と感じ、ある人は「悪いこと」と感じることもあります。人それぞれ判断が違うからです。

さて今あなたが抱えている問題を一つ、選んでみてください。それはあなたを苦しめています。もしかしたら、その同じ問題がある時は「良いこと」であったかも知れません。それは波のようにうねっています。今のところ、あなたはそれを持ち続けています。

それは恋愛かも知れません。あなたは喜びと苦しみの両方を経験します。恋愛は感情の動きです。それは病気かも知れません。病気によって、何か大切なことを学ぶ時があったり、また病気を呪う時があったりしたかも知れません。

あなたは問題にうんざりしていますか? 本心では、まだ少し、感情の起伏を経験していたいでしょうか。それはドラマであり、それがどんなに激しいものであろうとも、私たちを生き生きとさせてくれるものでもあります。もし、問題が解決したら、ドラマは無く、何の感情もありません。もしかしたら、人生が詰まらなく感じるかも知れません。

私たちは、問題が無くなってしまうと、何も感じなくなり空虚になります。そこで、この空虚感を埋める為に、新しい問題、多くの場合同じような問題を見付けて来てはそれに取り組む傾向があります。これは自分の人生の目的が意識的にはっきりと定まっていないことと直接関係があります。私たちは、自分に何の問題も無くなってしまうと、他人の問題を自分のものとして引き受けることさえよくするのです!

もしあなたが、問題にとことんうんざりし、苦しんでいるのだったら、解決を選ぶ時です。人は、成長する為に苦しまなければいけないという考え方もありますが、もうこれ以上、苦しむ必要はないのではないでしょうか。あなたは苦しみから何かを学んだのですから、もう問題は手放す時です。

もしあなたが問題を解決するのを選ぶのならば、まず、外側のあれこれから離れ、プライベートな場所に一人で引きこもる必要があります。ずっと引きこもるということではなくて、ここでご紹介する呼吸法を実践するための数時間を、誰にも邪魔されない場所で一人で過ごすという意味です。もし可能であれば、誰もいない静かな自然の中に座るのが最も良いでしょう。もしあなたが心の内側で問題を解決したならば、外側の問題も自然と解決して行きます。物理的に変化が起こるのです。外側のものごとと格闘する必要はありません。

さてもしあなたが問題を持っていて、それを今解決することを選択するならば、一人になれる静かな場所で、柔らかい物の上に楽な姿勢で座ってください。それから何枚かの紙と、絵を描くための簡易な道具(色鉛筆、クレヨン、カラーペンなど)を用意してそばに置いてください。あなたの役に立つならば、リラックスできるような音楽をかけても構いません。これから一緒に呼吸を始めます。あなたの問題を一つだけ、選んでください。これでどんな問題でも解決できるかどうかは分かりません。でも私は、誰もが奇跡を起こす力を持っていると信じています。奇跡的なことが出来た人の話を知っているからです。そして奇跡は確実に、誰か他の人に頼るのではなく、自分自身で成し遂げるものであるということを知っています。

パワフルな深呼吸をしましょう。何も考えないで、ただ単に鼻から息を吸って、はいて(鼻が詰まっていたら口で呼吸すれば良いですよ)・・・パワフルに、大きく息を吸って、はいて・・・日常生活の濃密な感情をきれいに洗い流しましょう。腹式呼吸をするのが望ましいですが、腹式に慣れていなければ胸式で結構です。こだわらないでください。気分が落ち着くまで深呼吸を続けてください。

次に、軽く目を閉じてください。自分の胸の中心を意識してください。深呼吸をしながら・・・胸の中心に意識を置いて、そこに白い光の玉があるのを「見て」ください。通常イメージが見えるのは頭の中なので、頭の中で、胸の中心に白い光の玉があるのを見るということですね。光はまばゆいほど良いです。見えなかったら、光を「感じて」ください。胸の中心に、白い光の玉がある感覚を感じてください。暖かい光です。その光は、息を吸うのにもはくのにも関係なく一様に光り輝いています。呼吸には反応しません。ちなみにこの光は、あなたの純粋な愛であるということを知っていてください。これを練習だと思ってください。もしうまく見えたり感じたり出来なかったら、何度でも練習することが出来ます。光を感じながら呼吸するほどに、心地良さを感じるようにしてください。違うイメージが見えて来てしまったら、光に意識を戻すようにしてください。リラックスして、もう充分と感じられるまで続けます。時間にすると数分か、もっと長いかも知れません。

次に、目を閉じたままで、心の中で、または口に出してこのようにはっきりと宣言してください。どちらかと言えば、口に出して言った方が良いですね。「私は、あらゆる現実の創造者です。」そして静かに、体の内部の「感覚」を意識してください。静かに、体の感覚に耳を傾けて・・・体のどこかに違和感や、緊張や、抵抗を感じますか? 落ち着かなくなったり、不安を感じますか? 体のどの部分に、それを感じますか? 調べてください。ではもう一度。「私は、あらゆる現実の創造者です。」体の中の感覚に耳を傾けてください。正直に。もし体のどこにも抵抗がなく、心の中で喜びを感じるならば、あなたは本当に準備が出来ています! でも、違和感や抵抗を感じるのが普通であり、間違いではありませんので安心してください。胸の辺りが苦しくなる、皮膚が冷たく感じる、体が硬くなる、胃の辺りがむかむかする、尾てい骨の辺りがむずむずしたり冷たくなる、肩が重くなったり痛くなる、泣きたい気持ちになり涙が出て来る、悲しくなる、不安になる、腸のあたりから怒りがこみ上げる、息が苦しくなる、膝が痛くなる、喉が痛くなる。微妙な感覚の変化も無視せずにしっかり感じてください。もしかしたら、胸が熱くなる、手が熱くなる、楽しい気分になる、といった肯定的な感覚かも知れません。充分だと感じられたら、目を開けて、体の中で感じたことを紙に書き留めてください。正直に。これは単にあなたの今の状態を認識する為だけのものです。紙に書くことで、それを客観視するのに役に立ちます。この紙は取って置いてもいいし、後で捨ててしまっても構いません。それではもう一度、目をつぶって宣言しましょう。「私は、あらゆる現実の創造者です。」良い悪いはないので、ありのままに感じてください。

次に、目を閉じたままで、このように宣言してください。「私は、今この瞬間に存在しています。」これを自分のペースで三回言ってください。

さてこれで準備はおしまいです。具体的な取り組みに入って行きましょう。あなたが選んだ一つの問題を取り上げます。想像力を使って、その問題が既に解決している時のあなたを想い浮かべてください。目をつぶっていても開けていてもどちらでも構いません。想像の世界の中で、その時のあなたになり切ってください。心の中に、何か光景が浮かびますか? 何か聞こえたり、匂いがしますか? 深呼吸してください。もし何も見えなくても構いません。問題がすっきりと解決している時のあなたの気持ちを、感じてください。心地よく感じますか? 空虚に感じますか? もしかしたら、本当は問題を解決したいとは思っていなかったことに気が付くかも知れません。もしこの時点で大きな抵抗を感じたら、先へは進まず、ここで終わりにしてください。じっくり感じてください。その感覚の中で、くつろいでください。あなたは、解決を選びますか? もしそうなら、先へ進みましょう。

あなたは、問題を「どうやって」解決したかを考える必要はありません。むしろ、ああなって、こうなって、というシナリオを描かない方が良いのです。そうする代わりに、あなたの喜び、あなたの気づきを象徴するような絵を作りましょう。あなたにとって、その問題の解決を意味するようなシンボルを一つ考え出します。例えば、学校での人間関係が問題であれば、あなたが学校で笑っている絵や、単に、調和を表す円の絵であるかも知れません。あなたの問題になっている人が、学校を去って行く絵を描いたりしないでください。あなたの問題が恋人だったら、恋人が思い通りに変わるのを絵に描いたりしないでください。変化するのは、常にあなたです。他の人の人生に影響を与えるのは究極的には不可能なことです。その人自身が選ばない限りダメなのです。でもあなたの中で変化が起これば、外側のものごとはそれに応じて変化します。本当です。クリエイティブになって、あなたにとって最もパワフルなシンボルを作りましょう。あなた個人にとっての解決を表すシンボルです。具体的な絵でなくても構いません。風景画のように精密なものよりも、漫画のようにシンプルであればあるほど良いです。考え付いたら、新しい紙を取り出して実際に絵を描いてください。シンプルな絵にしてください。

絵が完成したらそれを手に取って、じっと見てください。絵を記憶してください。じっくりと。次に目をつぶって、絵を頭の中で再現してください。はっきりと見ることが重要です。視覚化に馴れていて、おでこのあたりや前方や頭上で見るのが得意な人は、それでも構いません。目をつぶって、絵をちらっとでも再現できるようになるまで繰り返してください。これは良い練習になります。楽しんでやってみてください。

いよいよ、この呼吸法の核心部分に入りますよ。より集中してください。絵を下に置いてください。目をつぶって、頭の中で絵を再現してください。そして、息を大きく吸い込むと同時に、絵を胸の中心にサッと移してください。あなたのイメージの中で。もう一度やってみましょう。絵を見て、息を大きく吸い込むと同時に絵を胸の中心に移します。あたかも、絵を同時に吸い込むような感じです。もう一度やってください。絵を吸い込んでください。そして胸の中心で、絵を「感じて」ください。くつろいでください・・・絵を感じられますか? あなたの解決のシンボルを受け容れてください。次に、今度は、普通に息を吸い込んで、ほんの少し息を止め(二秒くらい)、その間に絵を胸の中心で感じます。そして息をパワフルにはき出すと同時にその絵の「感覚」が外側に拡がって行くのをイメージしてください。外側に拡がって行くのを感じてください。鼻からはいても口からはいても構いません。息をはき切ってください。絵が拡がって行くのをイメージするのを忘れないでください。余り一生懸命やらないでくださいね。クラクラしてしまいますから。自分のペースで呼吸してください。絶対に苦しくなるまでやらないでください。倒れることはないと思いますが。もう一度やってみましょう。素晴らしいですね。絵が拡がって行く感覚というのは、人それぞれ違いますから、これが正しいというのはありません。あなたの自己流で、マスターしてください。体の中に、感覚が拡がって行くのを感じる人がいるでしょうし、何かが虚空に拡がって行くように感じる人もいるでしょう。とにかく、胸の中心から、感覚が外に向かって拡がって行けばそれで良いのです。それではこれから息を吸うのとはくのを連続してやりますよ。

目をつぶってください。リラックスして、普通に呼吸してください。息は止めないで。頭の中で、絵を再現してください。はっきり見えたら、息を大きく吸い込むと同時に、絵を胸の中心に持って来てください。少し息を止めて、胸の中心の絵を感じてください。パワフルに息をはき切ると同時に、絵が胸の中心から外へと拡がって行くのをイメージしてください。これを自分のペースで、もう充分と感じるまで繰り返してください。三回で済むかも知れませんし、もうちょっと長いかも知れません。そして終わったら、目はつぶったままで、再び頭の中で絵を見ます。普通に呼吸してください。絵がはっきり見えたら、心の中で、または口に出してこう宣言してください。「私は、解決を選びました。そして、すでにそうなっています。」

これからのあなたの人生で、何か変化があるかどうか観察してみてください。今すぐには変化しないかも知れませんが、三日後、一週間後に、あなたの内側と外側で、何が起きているか観察してみてください。あなたの絵を好きな場所に貼っておくのは良いことです。そしてもしこの呼吸法が気に入ったら、あなた独自のやり方で応用して行ってください。本当に気に入ったら、あなた独自の方法を人に教えることもできます。

Email : midrashim@ainohoshi.fr

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