記憶

過去は存在しないとか記憶は幻想という考え方が精神世界にはありまして、過去がないなら現在もなく、記憶がないならあなたは誰?と言う訳で、最終的には現世を完全否定する教えにまで辿り着いたのです。良い悪いは別として、実際の適用としては、(どうやっても人間社会に幸せを見出せない)不幸な人が世界と折り合いを付けるための哲学である、というのが一つの事実ではないでしょうか。本当に幸せな人が説いた幸せの哲学というものが、ハッキリ言ってほとんどなかったわけです。無論これは大きく変わって行きます。過去を否定するのであれ自我を否定するのであれ、何かを強く否定する人ほどそれに強く囚われているという傾向が、絶対とは言いませんがあるように思います。本当に幸せな人というのは過去をあまり振り返らないし、自分というものにこだわりません。だけど、そんな世界があることをほとんどの人は知らないのですから、仕方がないのです。どうすればそうなれるかというのが問題です。それが出来ないから、私たちは常に、現世否定型の哲学が最終結論なんだろうと自分を納得させて来たわけです。しかしながら、今や私たちには別の選択肢が与えられています。